「テクニカルなコインマジック講座」
出版記念パーティの特別日記
7月28日(木)
篠原康子
 駒場エミーナース(東京・世田谷区)にて、荒木一郎会長の【テクニカルなコインマジック講座・出版記念パーティ】が賑々しく開催されました。
 【テクニカルなコインマジック講座】に描かれている、荒木会長が生み出したコインマジックの世界は、30年来誰も書かなかった、まったく新しいコインマジックの集大成となっています。そして、DVDを付属する事により、映像で見える部分と本で深く掘り下げた部分との両面で楽しめる・・・コインマジックの魅力を存分に満たした作品が収容されています。
 この日の為に会場には、沢山のマジシャンがお祝いに駆けつけてくださいました。【ゲストマジシャンに、スピリット百瀬さん、上口龍生さん、魔耶一星さん、特別ゲストに、二川滋夫さん、小川勝繁さん。来賓マジシャンには、マーカ・テンドーさん、ケン正木さん、ダーク広和さん、シルキー渚さん、マイク太田さん、中辰哉さん、たけたけをさん、ブライト一矢さん、ぺるちゃん、カッシーMrジョーカーさんのお姿も。将棋界からは、森内俊之名人などです】

 総勢150名が参加した、この出版パーティの会場には、お祝いのスタンドフラワーが豪華絢爛に沢山飾られ ステージ脇には、巨大スクリーンを設置。 後に紹介するコインマジックが後方のお客さまにも見えるようにという配慮もありで、始終パーティは大盛り上がりを見せました。誰もが参加しやすいようにとの荒木会長の提案で、会費も2000円という破格な値段。それなのに、ドリンクは飲み放題だし、高級素材のオードブルが各テーブルを飾っています。荒木会長がプロデュースするイベントは常に、[リーズナブルな金額で贅沢なおもてなし]参加する皆さんに絶対喜んで帰っていただく・・という本質をはずしたりはしません。常に人に優しく・・です。

 さぁ、美しいピアノの音色とともにパーティの幕開けです。
 本付属DVDの中には、ピアノの生演奏がBGMに使われています。素晴らしいコインマジックと美しい旋律の融合が目を引きます。その音楽を担当したのは、荒木会長を師匠と慕う、ピアニストの平川真悟さん。このパーティでも演出に協力してくださいました。司会から「ピアニストマジシャン・平川真悟さんです」と紹介され美しい音色で答える真悟さん。彼と会長の仲は「ツー・カー」の呼吸です。会長が「こんな感じの曲つけて」と軽く意思表示をすると、即興で見事なほどに適切な音を奏でる真悟さんです。

 プログラム1●出版パーティの趣旨/東京堂出版・名和成人編集長より●
 出版パーティの主催協力の東京堂出版・名和編集長が、本パーティの趣旨や荒木会長と一緒に仕事をする喜びを語られました。「僕がマジック本の編集の担当になったと同時期にプリあらが誕生し、すぐに会員にさせていただいて、荒木先生には色々勉強させてもらってます。この本は、沢山のマジシャンの方々にも協力して頂き、人と人の繋がりによってつくられた本です。荒木先生の人を大事にする気持ちが詰まっています」と語られていたのが印象的でした。

 プログラム2●来賓マジシャンのお祝いスピーチ●
 来賓マジシャンのお祝いの言葉の、トップバッターはダーク広和さんです。びっくりしたことに、広和さんは、プリあらスタッフと同時間(開場2時間前)に突然現れて、大道具さんのように大工道具をなぜか持参しています。まだ閑散としている会場内をぐるりと見渡し、ニコニコ笑って「僕、なんでもお手伝いするから、遠慮なくいってね」と。そして、今回は来賓マジシャンという立場でありながら、手作り看板の制作を初めとする縁の下の力持ち役をなんでも引き受けてくださった広和さんでした。
 お祝いスピーチでは自ら「ダーク広和、大工広和です」なんて冗談を飛ばされてました。
 「僕は荒木会長のお宅によく遊びに行かせていただいてます。荒木会長の傍にいると刺激を受ける事ばかりで。。。会長は趣味で海外から色々なものを輸入されてるんですよ」といって、ハンカチからイタリア製のカラフルな傘を出現させるマジックを披露!「この傘も会長のところから頂いたものなんですよぉぉ。今度は、東京堂から『テクニカルな海外の輸入品』という本もだせそうですよね」と、楽しくも鮮やかなパフォーマンスを演じて下さいました。突如出現した、その美麗な傘に会場内がどよめいていました。

 余談ですが、会長は、マジックグッズを初め、高級傘や宝石などを海外から趣味で輸入されています。ただ、輸入業者のようにやっているわけではなく、高嶺の花と諦めている一般の人達にも買えるるようにと、出来るだけ安いコストで仕入れる、というテーマのもとに激安ルート開発を常に面白がってやっているのです。そして、仕入れたものを超低価格で皆に譲ってくださっているのです。プリあらグッズはそれの最たるもので、その恩恵を蒙って多大なる人気を博し続けている訳です。

 スピーチ2番手は、マニュピレーションの巨匠、シルキー渚さんです。シルキーさんは荒木会長のマジックを始めてみた時の思い出をかたります。
 「初めは、アマチュアの方だと思っていたんですね。ところが、会長のカードマジックを見てビックリしてしまいました。プロの方でも足元にも及ばない技術の素晴らしさ。会長はマジック技術を日常生活のように簡単に行うんですよ。もう、初めて会ったのにすっかりファンになっちゃいまして・・・。僕もこの本を読んで勉強したいと思います」とうれしそうに話されました。

 更に、将棋界のプリンス・森内俊之名人からもスピーチを頂きました。7年前、プリあらが誕生した頃を彷彿とさせる楽しいスピーチでした。
 「僕はプリンあらモード会の運営員でありながら・・・最近は出席率が悪くて、本当にすみません。初めは、10人にもみたないプライベートな集まりだった会がこんな催し物を開けるようになるなんてスゴイですね。荒木会長も今回はカードではなく、コインの本を出されたという事で、また、意表を衝かれました!びっくりしています」と。森内名人は、マジック業界のイベントに参加するのは、とても久しぶりなんだとか。久々のプリあらの空気に触れ、その様子に本当に驚かれているご様子でした。

 プログラム3●乾杯の儀/二川滋夫先生●
 乾杯の音頭は、コインマジック界の重鎮、二川滋夫先生にお願いしました。
 二川先生、何やら、ご登場の際に小脇にビール瓶を抱えています・・・次に・・ビール瓶の注ぎ口に手の平を押し当てて・・・瓶を持ち上げ「クラッシックパーム!!」と、会場中を笑わせながらの乾杯のご発声です。「この本の前書きを書かせてもらいました。前書きでは、この本をかなり、誉めています。ただし、全部を見た訳ではないので不安でした・・・・が、今、読んでみたら、私の予想以上に素晴らしい本だったので安心しました」と二川先生、独特の照れたような笑顔が輝いていました。

 プログラム4●来賓マジシャンのお祝いスピーチ●
 次は、世界でもトップクラスマジシャン、マーカ・テンドーさんのスピーチです。ステージに上がるとすぐさま、【テクニカルコインマジック講座】を持った右手を高く掲げ、『是非!プロのみなさん、勉強しましょう!!荒木さんはカードマジックと思っていましたが、大きな間違いでした。コインも凄かったんですね。カードの次は、コイン・・そして、ハト、シルク・・・イリュージョン・・・次から次へと・・・【テクニカル講座】を東京堂から出して下さい。そのうち、やる事がなくなるでしょう!!』 そんな、マーカさんのちょっぴりおふざけな楽しいスピーチに会場が大爆笑でした。

 来賓マジシャン最後のスピーチは、和妻からイリュージョンからなんでもこなす、日本を代表するマジシャンのお一人、ケン正木さんです。
 ケンさんは昔からの歌手・荒木一郎ファンでもいらっしゃるようで・・・荒木会長の曲に合わせてマジックを演じたビデオも残っています。そんなケンさんのお祝いパフォーマンスも格別でした★
 『僕は以前から荒木一郎さんのファンでしたが、初めてお会いし、会長のマジックに対する情熱と専門的な技術や知識にビックリさせられた事を思い出します。今日は謎賭けマジックというのを披露させて頂きます・・『荒木一郎さん』とかけて『マジックの輪』と解きます。荒木会長は、常々人の輪を大切にしていますからね!(大きなリングを出します)・・・その心は・・・『空に星があるように(リングの輪が一瞬にして星型に変化)! 荒木会長は、永遠のスターです!」ケンさんのステキな演出に会場大拍手でした。

 プログラム5●コインマジックトークショー●
 メインのコーナーはDVD出演者と荒木会長によるコインマジック談義のコーナーです。メインコーナー前に、ステージ脇に設置されているスクリーンに付属DVDのダイジェスト版の映像が美しく映し出されます。そのかっこ良く、ファンタスティックなコインマジックの世界に、これから始るコーナーへの期待がふくらみます。
 司会の紹介で、ステージ上へコインマジシャンの面々が揃います。スビリット百瀬さん、小川勝繁さん、魔耶一星さん、上口龍生さん、そして、二川滋夫先生。
 急遽不参加を余儀なくされたヒロサカイさんからは、韓国からユーモアーたっぷりのビデオレターが届いていました。スクリーンに大きくヒロサカイさんの姿が映し出されます♪ ヒロさんは、会長に祝辞を述べた後、コミカルなコインマジックをひとつ披露してくれました。床にコインをばら撒くと・・・何も仕掛けもないはずの床に『祝』という文字がコインでかたちどられる、観客から拍手が沸き起こります。その場にいらっしゃらないのが心から残念でしたが、その存在感がバッチリアピールされたビデオレターでした。
 DVDの中で[リテンションバニッシュ]を丁寧に解説して下さった緒川集人さんからも米国から、心に響くお祝いのお便りが届いていました。『荒木会長に呼ばれれば、いつでも、アメリカから協力いたしますなんでも、言ってください』といった内容のものでした。流派を超えた人の暖かな絆を感じます。
 岐阜県の沢浩さんもお住まいが遠方な為、残念ながら、パーティにはいらっしゃられませんでしたが、素晴らしい本の完成の喜びを共に味わっていらっしゃる事でしょう。

 さて、コインマジック・トークショーのスタートです。
 『この本には、「使うコインについて」というページがあります。僕のコインマジックの基本は、64年のケネディコインのような、美しく輝くコインを使うことです・・・』と会長が口火をきります。すると『もぐって暗〜く、潜行するのが私達のコインマジックです』と二川先生がいたずらっ子のように苦笑して答えます。その隣で小川勝繁さんも肩をゆらして笑っています。
 そして、荒木会長に導かれ、小川勝繁さんのコインマジックを皮切りにマジックセッションへ。小川さんは、コイン・スルー・ザ・テーブルを披露。スピリット百瀬さんは、会長からモーガンコインを借りて、美しいシルクとコインのルーティーンを披露。百瀬さんのコインマジックには、荒木会長のさりげない指示によって、真悟さんのピアノがBGMにつきました。流れの美しさが際立ち、客席から思わず、ため息が漏れていました。
 魔耶一星さんはDVDにも収録されている映像でないとわかりずらい「スリーピング」を華麗に披露、引き続きスリーフライのバリエーションを見せてくれました。続いては、上口龍生さん。ピースダラー3枚を使い、リズミカルなルーティーンを披露されました。短い時間ですがお客さんの笑いを引き出し、楽しく軽快なパフォーマンスでした。
 締めは、やはり二川先生ですが、コインを鳥に見立てて、ストーリー仕立ての見事なコインアクロスを演じてくださいました。「こんなに沢山のコインマジックを一機に見たのは初めて♪」とパーティ終了後、マジックマニアの青年が興奮して私に声をかけてきました。多彩なマジシャンによる素晴らしい、コインマジックの競演を堪能したひと時でした。

 付属のDVDには25ものチャプターで映像が収録されています。
 それぞれのマジシャン方の演技は数分しかありませんが、実際は何時間もかけて撮影しているんだそうです。集人さんは、二時間以上たっぷりと演技と解説をされ、どこをどう使ってもかまいませんと言われていたそうですし、勝繁さんは、深夜から明け方にかけて撮影・・・と、「いい物を一緒に作ろう」という荒木会長の意志にマジシャン方が賛同された結果なのですね。スビリット百瀬さんも、映像では夕方から深夜までお付き合いして戴きましたが、会場では、「荒木会長が書かれる斬新な『導きの書』によって、日本のマジック界に、どんどん新しい流れを作っていく必要があると俺は思う」とスピーチされていました。

 ラストは荒木会長のスピーチで幕を閉じます。「皆んなの為にこの本を書いたけど、自分が一番勉強になった・・・。この本に取り掛かったのはちょうど12月の初め。それから4ヶ月間ひと時もコインを手元から放した事はなかった・・歯医者にでかける時も人と打ち合わせしている時も寝る寸前までずっとコインを手元から離さなかった』と、会長は語ります。そして「最初はこんな難しいことは出来る訳がないと思っているのだけど、3ヶ月もするとそれほど難しく感じなくなってくるんだよ」と。
 ご自分のコインテクニックの上達に会長自身が驚かされているといった話はとてもドラマチックで一本の映画を観終わった時のような感慨が胸に深く残りました。。
 私自身は、コインマジックの世界に執拗にチャレンジされていく荒木会長の4ヶ月間のお姿を、間近で見させて頂き、勉強になる事ばかりでした。(左の写真は参加マジシャンの記念ショットです)

 「僕はマジックはさっぱりわかりませんが、荒木さんはいつもやれば出来るという事を証明して下さる人で、なにか、勇気が涌いてきますね!」と会長のお友達の弁護士さんがパーティ後の感想を語られていました。私も、このパーティで改めて、本気で物事に取り組むということ、難題とおもわれる事をクリヤしていけるエネルギーをもつ事の大切さを痛感いたしました。。閉会後、参加された何人もの方々が、同じような感動を話されていました。いつまでも余韻が残るパーティーでした。

(補足)パーティ翌日の朝刊/報知、サンスポなどに、この日の記事が掲載されていました。

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